■■■ Yao特許商標ニュース No.01 ■■■■
大阪府八尾市山本町
弁理士、中小企業診断士 鷹津 俊一
寒さ厳しきおり、本年第1号のYao特許商標ニュースをお届けします。
このニュースは、過去に展示会、講演会等のイベントやお仕事にさいして
ご縁をいただいたお客さまへ配信いたしております(配信停止のしかたは
下記します)。
1月~3月までの3回にわたって、今年以降の法改正によって予定され
ている職務発明制度の変更と企業の対応についてお知らせします。予告な
しに内容を変更するときはどうかご容赦ください。
1月 発明者主義原則の例外
2月 職務発明規程を置かないことのリスク
3月 発明者特定の厳格化の必要性
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平成27年1月11日
鷹津中小企業診断士・弁理士事務所
職務発明制度の変更と企業の対応
(1)発明者主義原則の例外
★制度変更の最大ポイント
職務発明といえば、何億円規模の対価を求めた裁判に話題が集まり、ど
うしても大企業や有名大学を思い浮かべがちです。しかし、企業が然るべ
きプロセスを踏んだ上で権利化を図らなければ、社員とのトラブルとなる
おそれは中小企業にもあります。そうした企業にとっての「転ばぬ先の杖」
について、2月予定と3月予定の各稿において紹介します。今月は、先ず
今回の制度変更の最大ポイントである「発明者主義原則の例外」とは何か
を解説させてください。
★★発明時の権利者は発明者
冒頭の「何億円規模の対価」はどんな根拠によって請求されたのでしょ
うか。それは、例えば日亜化学が青色発光ダイオードの発明について特許
権を取得したのですが、この発明が生まれた瞬間の権利(「特許を受ける
権利」という)は発明者である中村修二教授のものでした。このように、
発明時に権利が発明者に帰属するルールを発明者主義といい、日本の特許
法は大正10年法以来この発明者主義を採用してその例外を一切認めてき
ませんでした。中村先生が勝ち取った8億円は、この中村先生の権利を日
亜化学が承継したことの対価なのです。
★★★発明時から企業が権利者に
ところが今回の制度変更は、「職務発明」に限り、この権利を発明時か
ら企業のものにしてしまうものです。中村先生の例にあてはめれば、先生
が「発明者」であることに変わりはありませんが、権利は最初から日亜化
学のものですから、先生の立場は全く弱いものになってしまいます。この
ように、職務発明以外の発明については、制度変更後も発明者主義の原則
が適用されますが、職務発明については権利が企業に帰属する。すなわち、
発明者主義原則の例外扱いとすることが今回の制度変更の最大ポイントと
なります。
以上のような制度変更について、当事務所のホームページではもう少し
詳しく説明をしています。ぜひこちらもご参照なさってください。
職務発明制度の変更と企業の対応
http://www.takatsu-pateco.jp/職務発明制度の変更と企業の対応/
(事務所代表 鷹津)
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☆☆今日は記念日
上で触れた8億円の和解は平成17年1月11日に成立しましたので、
本日はそれからちょうど10年が経過した記念日です。この和解の後、裁
判によって1億円以上の対価額を勝ち取ったケースはなく、事件の頻度も
減ったように思われます。来月の稿にて述べますが、平成16年に法改正
をして、実質的にその改正条項に該当するかどうかの裁判所による判断も
未だ下されていないなかで、さらにこんな発明者主義原則の例外規定を設
けるほどの大きな改正をする必要があるのか、筆者にはちょっと?!です。
鷹津中小企業診断士・弁理士事務所は、鷹津俊一が代表を務める特許商
標事務所です。お客さまの事業モデルや経営方針に合った工業所有権(特
許、実用新案、意匠、商標)の取得と維持管理を共に考え、お客さまの力
を最大限に活かす知的財産マネジメントのお手伝いをさせていただきます。
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鷹津中小企業診断士・弁理士事務所 http://www.takatsu-pateco.jp/
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ありがとうございました。
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